【Lifestyle with Dogs】File5 松浦奈津子|ロットワイラーとの暮らしは、想像以上だった ――うんち、ヘッドライト、そして“幸せトレーニングフード”が生まれるまで 第3話

Lifestyle with Dogs

ロットワイラーとの暮らしは、正直、想像以上だった。
優雅な大型犬ライフ――。
そんなものとは、かなり違った。
むしろ最初は、毎日が事件だった。

うんちで「オエオエ」していた頃

HANAが来た頃、私は犬との暮らしにまったく慣れていなかった。
もちろん、うんちにも。
大型犬なので量もすごい。
しかも最初の頃は、下痢や軟便も多かった。
ジアルジアになったこともあり、病院へ通う日々。
うんちを片づけながら、
「オエオエ……」
となっていた。
本当に毎日必死だった。

「うんちキャッチャー」に感動した日

しかも困ったのが、“場所”だった。
散歩中、突然しゃがむ。
そしてその場所が、人の家の前のコンクリートだったりする。
私は毎回、
「すみません……!」
という気持ちで必死に片づけていた。
でも、どうしても地面が汚れる。
みんなどうしているんだろう。
本気で悩んでいた。
そんなある日、ドッグランで衝撃の光景を見た。
知り合いの飼い主さんが、犬がうんちをする瞬間、サッと何かを差し出したのだ。
そして――
キャッチした。
私は、本当に感動した。
「えっ!? それ何ですか!?」
思わず聞いた。
すると、
「うんちキャッチャー。Amazonで安く売ってるよ」
と教えてくれた。
私は、その日のうちに買った。
そして数日後。
生まれて初めて、HANAのうんちをキャッチした。

感動だった。
本当に感動だった。
「すごい!!!」
と思った。
道路を汚さない。
人の家の前でも焦らない。
“こんな便利なものがあるのか”
と、本気で世界が変わった気がした。
嬉しすぎて、
「うんちキャッチしたよ!」
と友達に報告したくらいだった。
今思うと少し笑える。
でも、その頃の私にとっては、大事件だった。
そして不思議なことに、今では、HANAのお尻を見ていると、
「あ、そろそろだな」
とわかる。
歩き方。
止まるタイミング。
空気感。
「あ、この辺でするな」
という予測までつく。
最初は何もわからなかったのに。
今では、そんなところまで阿吽の呼吸になっている。

夜の散歩は、「光」が命だった

HANAが来て、最初に困ったことのひとつが、夜の散歩だった。
ロットワイラーは黒い。
しかも大型犬。
夜になると、本当に見えにくい。
最初の頃、警察の方に言われたことがある。
「ライト、つけてくださいね」
たしかに、その通りだった。
HANAは黒いので、闇に紛れる。
しかも私は、犬が苦手だった側の人間だ。
もし昔の自分が、夜道で突然ロットワイラーとすれ違ったら――。
きっと怖かったと思う。
だから私は、できるだけ“怖く見えない散歩”を考えるようになった。
大型犬との散歩は、両手を空けておきたい。
でも普通の懐中電灯では危ない。胸につけるLEDのライトもあったが私的には、明るさが弱い。
どうしよう。
そう悩んでいた頃だった。
家の門の工事で、夜遅くまで作業していた大工の棟梁がいた。
その時、私は驚いた。
帽子につけたライトが、異常に明るかったのだ。
「えっ!? 何それ!? めちゃくちゃ明るいですね!」
すると棟梁は、
「これ? プロ用のヘッドライト。Amazonとかで売ってるよ」
と教えてくれた。
私は、その日のうちに買った。
届いてさらに驚いた。
ものすごく明るい。
遠くまで照らせる。
しかも充電式。
「これだ……!」
と思った。
そこから私の夜散歩スタイルは、一気に変わった。
帽子にヘッドライト。
さらに、自分も見えやすいように、光るジャケットを着る。

最初は、ヘッドライトで散歩をするのが少し恥ずかしかった。
でも、50kg近い黒い犬との夜散歩で、格好なんて言っていられない。
HANAも、自分も、周りの人も、安全な方がいい。
そう思った。

「まず、トリーツポーチを買ってください」

先生に最初に言われたことのひとつが、
「まず、トリーツポーチを買ってください」
だった。
私は正直、
“トリーツポーチ?”
と思った。
でも、アニマルウェルフェアのトレーニングでは、“ポジティブ強化”が基本になる。
犬が望ましい行動をした瞬間に、
「グッド!」
と伝え、すぐに報酬を与える。
そのテンポが、とても大切なのだという。
だから、すぐ取り出せる位置に、ご褒美を入れておく必要がある。
それがトリーツポーチだった。
私はすぐに買った。
そして、そこに入れたのが、試作中だったミレワンだった。

「そのフード、何ですか?」

「グッド!」
そう言いながら、HANAにミレワンを渡す。
その繰り返しだった。
するとある日、先生が言った。
「そのフード、何ですか?」
「めちゃくちゃ使いやすいです」
驚いた。
さらに先生は続けた。
「ノンオイルだからベタつかないし、割れるし、食いつきもいい。トレーニングにすごく向いてる」
実はそれ、まだ未完成だった。
パッケージもなかった。
私は少し照れながら言った。
「実は……うちで作ってるフードなんです」
先生は驚いていた。
そして、
「ぜひ、うちで扱わせてください」
と言った。
私は、その言葉が本当に嬉しかった。

「それは、“狩り”をしているんですよ」

HANAと暮らしていて驚いたことのひとつが、“ぬいぐるみの壊し方”だった。
振り回す。
噛む。
そして、中の綿を全部出す。
部屋中、ぐちゃぐちゃ。
私は最初、
「なんでこんなことするの!?」
と思っていた。

そこである日、トレーナーの先生に相談した。
すると先生は、あっさり言った。
「それ、狩りをしてるんですよ」
私は驚いた。
先生は続けた。
「ぬいぐるみを振り回すのは、獲物を仕留めてる動きなんです」
「綿を出すのは、はらわたを出してる感覚ですね」
正直、少し怖かった。
でも、ものすごくわかりやすかった。
犬は、もともと狩りをして生きてきた動物。
だから、“獲物を探す”“捕まえる”“噛む”“解体する”という本能がある。
その欲求を満たせないと、ストレスになることもあるのだという。

「地面にフードをまく」が、最初は衝撃だった

先生は、いろんな遊びも教えてくれた。
コングの中にフードを詰める。
タオルにくるむ。
段ボールに隠す。
そして、地面にフードをまいて、“宝探しゲーム”をする。
私は最初、かなり驚いた。
「えっ!? 地面にフードをまくんですか!?」
違和感しかなかった。
でも先生は言った。
「犬は胃液が強いので、多少地面のものを食べても大丈夫ですよ」
むしろ、
“探す”
“見つける”
“食べる”
そこに楽しさがあるのだという。

私は半信半疑でやってみた。
するとHANAは、大喜びだった。
段ボールをビリビリ破る。
タオルをほどく。
鼻を使って、一生懸命探す。
夢中だった。
“獲物を見つけた!”
そんな顔をしていた。
私はその姿を見ながら、
「ああ、この子はこういうことがしたかったんだ」
と初めて理解した気がした。

ミレワンは、「幸せトレーニングフード」になっていった

そして、その遊びやトレーニングの中心にあったのが、いつもミレワンだった。
HANAは、ミレワンだけを食べ始めてから、本当に変わった。
下痢がなくなった。
毛がツヤツヤになった。
口臭もほとんど気にならなくなった。
なにより、消化がいい。
水にも溶けやすく、体に負担が少ない感じがした。
しかも、主食でもあり、トレーニングにも使っていたので、HANAにとっては“いちばん好きなフード”になっていった。
食いつきも、本当に良かった。
先生たちからも、
「これ、すごく使いやすいです」
と言われるようになった。
ノンオイルだからベタつかない。
割りやすい。
小粒。
しかも、お出汁のような自然な香りで、犬の集中力が続く。

従来のトレーニング用おやつは、油分や添加物が多いものも少なくない。
でも、トレーニングは毎日のことだ。
だから私は、
“健康を削りながら褒める”
のではなく、
“健康を作りながら褒める”
ことをしたかった。
その結果、生まれたのが、ミレワンだった。
私は今、ミレワンを、
しつけフードを超えた、“幸せトレーニングフード”
だと思っている。
しつけのためだけじゃない。
犬が楽しく学び、満たされ、健康でいられる。
その全部を、ひとつにつなげたかった。

ミレワンは、HANAとの暮らしの中から生まれた

HANAとの暮らしは、想像以上に大変だった。
オエオエしながら、うんちを拾っていた日もある。
夜道で停滞してしまい、何時間も帰れなかった日もある。
でも、その全部が、今につながっている。
HANAは、私に犬との暮らしを教えてくれた。
そして、“命と向き合うこと”を教えてくれた。
ミレワンは、そんな毎日の中から生まれていった。

HANAが毎日食べているごはん

アニマルウェルフェアの考え方から生まれた Family Food®「ミレワン」。
犬の保育園の現場でも使われている、“食べる楽しさ”と“学ぶ楽しさ”をつなぐ総合栄養食です。

次回予告

気づけば、50キロになっていた
――ロットワイラーとの暮らしは、“生活”も“価値観”も変えていった

松浦奈津子とロットワイラー

執筆者

松浦奈津子

Lifestyle with Dogs 編集記者

元地域情報誌編集長。現在は株式会社Archis代表取締役。
長期熟成型ヴィンテージ日本酒「夢雀」、ドッグフード「ミレワン」、犬の保育園「ハッピーランドハレルヤ」を運営。

犬が苦手だったにもかかわらず、ロットワイラーHANAとの暮らしをきっかけに犬の世界へ。アニマルウェルフェアの考え方や、人と犬がともに幸せに暮らすヒントを発信している。